デジタルトランスフォーメーションの進展と脅威状況の変化が重なり、米国の政府機関や教育機関はサイバーセキュリティ上の課題に直面する最前線に立たされています。連邦、州、地方の各レベルで業務のデジタル化が進むにつれ、組織が抱えるサイバーリスクへの露出も増大しています。TrendAI™の調査と実環境の脅威インテリジェンスからは、重要インフラや、市民・学生の機密データを保護するうえで、プロアクティブなサイバーリスク管理が不可欠になっていることが明らかになっています。
脅威状況を理解する
政府部門と教育部門は、複数の理由から高度な攻撃者にとって価値の高い標的です。これらの組織は、機密データ、重要インフラシステムに加え、職員、学生、市民など多数のユーザを含む広範なネットワークを運用しています。両部門では予算上の制約からレガシーシステムが広く残っており、運用上の要件によりパッチが適用されないまま、攻撃に悪用されやすい状態に置かれることも少なくありません。
持続的標的型攻撃(APT)、国家支援型の攻撃者、金銭を目的に機会を狙うサイバー犯罪者のいずれも、これらの部門を標的としています。主な脅威経路には、ランサムウェア攻撃、サプライチェーン侵害、データ窃取があります。また、政府機関と教育機関のネットワークは相互に接続されているため、1つの組織での侵害が部門内の二次攻撃を誘発するという波及リスクも生じます。
主な脆弱性要因
- レガシーインフラ: 政府機関や学校では、現代のセキュリティ基準が確立される前に設計された古いシステムが運用されていることがあります。こうしたシステムでは、セキュリティパッチ、最新の脅威検知機能、統合型セキュリティ監視が不足していることが多く、攻撃者に悪用される隙が生じます。
- リソースの制約: 州政府、地方自治体、公教育機関は予算上の制約を抱えており、サイバーセキュリティへの投資が限られます。必要な対策と割り当てられるリソースの隔たりが、脆弱性を恒常化させます。
- 複雑なアタックサーフェス: 現代の政府機関や教育機関のネットワークは、クラウド環境、オンプレミスシステム、リモートアクセスソリューション、サードパーティとの連携にまたがっています。この複雑さによってアタックサーフェスが拡大し、セキュリティの可視化も難しくなります。
- 内部リスクと人的ミス: 従業員やユーザは組織にとって重要な資産である一方、脆弱性にもなり得ます。政府職員や学生を狙うソーシャルエンジニアリングやフィッシングキャンペーン、意図しないデータ漏えいは依然として一般的な脅威であり、継続的な意識向上プログラムが求められます。
プロアクティブな防御への道筋
先進的な組織では、侵害が発生してから対応するのではなく、プロアクティブなサイバーリスク管理戦略を採用しています。TrendAI™ Vision One™ Cyber Risk Exposure Management(CREM)フレームワークは、次の機能を通じてこの転換を支援します。
- 資産(アタックサーフェス)の検出と棚卸し: あらゆる環境に存在するシステム、アプリケーション、アイデンティティ、データを包括的に可視化し、死角を生むシャドーIT、シャドーAI、未把握の資産を特定します。
- リアルタイムのリスク評価: 脆弱性、設定不備、露出パターンを脅威インテリジェンスと照合して継続的に評価し、ビジネスへの影響に基づいてリスクの優先順位を決定します。
- 脅威への露出の予測: 脅威インテリジェンスと行動分析を活用し、新たな攻撃経路や攻撃者の戦術を予測します。
- 緩和ワークフローの自動化: オンプレミスシステムからクラウドワークロードまで、分散環境全体の修復作業を自動化して対応時間を短縮します。
推奨されるセキュリティ対策
組織は、ゼロトラストの原則に沿った多層防御戦略を導入する必要があります。
- ゼロトラストアーキテクチャの導入: ネットワーク上の場所にかかわらず、すべてのユーザとデバイスを検証し、暗黙的に信頼しないようにします。
- 最小権限の原則の徹底: アクセス権を必要不可欠な機能のみに制限します。
- 継続的な監視の維持: アイデンティティ、データ、エンドポイント、ネットワーク、メール、Web、クラウドシステムを包括的に可視化します。
- 脅威インテリジェンス連携の優先: リアルタイムの脅威データを検知・防御戦略に活用します。
- インシデント対応手順の確立: 手順を文書化して定期的にテストし、侵害が発生する前に備えます。
レジリエントな未来に向けて
政府機関と教育機関のリーダーは、組織単独で現代のサイバー脅威に対処することはできません。脅威インテリジェンスの共有、連携したインシデント対応、統一されたセキュリティ基準を含む協調的な防御によって、部門全体を強化する必要があります。
TrendAI™ Vision One™は、検知、対応、リスク管理の機能を組み合わせた統合型サイバーセキュリティソリューションにより、こうした組織を支援します。侵害後の事後対応からプロアクティブなリスク低減へ移行することで、政府機関や教育機関は重要インフラと市民をより効果的に保護できます。
組織ごとに分断された事後対応型のセキュリティ対策では、もはや十分ではありません。サイバーレジリエンスを確保するには、脅威を予測し、攻撃が成功する前にリスクへの露出を抑える、インテリジェンス主導の統合型セキュリティ戦略が必要です。
参考記事:
U.S. Public Sector Under Siege
By Jon Clay
翻訳:与那城 務(Platform Marketing, Trend Micro™ Research)