主な調査結果
- OTとITの融合に伴うギャップが、管理されていないリスクの最大の原因です: 産業インフラの運用事業者の多くは、アタックサーフェスの全容を把握できていません。企業ネットワークにつながる管理外の機器が死角を生み、攻撃者はそこを組織的に突いています。
- 国家との関連が疑われる攻撃者による事前の足場づくりが加速しています: 国家との関連が疑われるAPT(Advanced Persistent Threat)グループは、将来の戦略的な利用に向けて持続的なアクセスを確保するため、運用技術(OT)環境の構成を積極的に調べています。本レポートは、脅威の動向を大きく左右する中国、ロシア、イラン、北朝鮮に関連する攻撃者の最新の活動を分析しています。
- AIが攻撃と防御の力関係を変えています: 攻撃者はAIを使って脆弱性の発見を速め、大規模なスピアフィッシングを標的ごとに最適化しています。また、分離されたOT環境内での偵察、横方向の移動、攻撃の進行を自動化しています。
- 規制は必要ですが、それだけでは十分ではありません: EUのネットワーク・情報システム指令第2版(NIS2)などの枠組みは、セキュリティの基準を引き上げています。しかし、対応にかかる時間、執行状況のばらつき、国境をまたぐ管轄の複雑さを考えると、規制だけでリスクの隔たりを適時に埋めることはできません。
- 官民の脅威情報共有の成熟度には、国や地域によって大きな差があります: 民間の監視データから得られる情報が、政府単独で把握できる範囲を上回るようになりました。信頼できる共有の仕組みがないことは、ますます大きなリスクになっています。
- 物理的な攻撃とサイバー攻撃を組み合わせた複合攻撃が、通信・エネルギーインフラに影響を及ぼしています: 攻撃経路はデジタル領域の境界を越えて広がり、AIがそのサイバー面での攻撃を加速させています。
電力網、交通網、水道、病院、金融機関などの重要な産業とインフラは、AIを利用した新世代のサイバー脅威の主要な標的になっています。AIは攻撃件数を増やすだけではありません。脆弱性の発見から悪用、業務の妨害に至るまでの時間も短縮します。
こうした変化を受け、TrendAI™は「2026年産業インフラセキュリティレポート」を公開しました。本レポートは、TrendAI™の脅威インテリジェンス、世界各地の産業インフラで行った現地調査、規制環境に関する独自の分析をもとに、2026年のOT環境が直面する脅威を包括的に示しています。さらに、高度なAIの時代にセキュリティ態勢を強化するための提言もまとめています。
数字で見る産業インフラへの脅威
- 0.05%:逮捕・起訴に至るサイバー犯罪の推定割合
- 年間1兆米ドル超:サイバー犯罪による年間損失額
- 75台超:水道事業を含む米国の産業インフラで侵害されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)の数
- 30カ所超:マルウェア「DynoWiper」の被害を受けたポーランドの再生可能エネルギー施設の数
- 717:過去6カ月間にランサムウェアの被害を受けた製造業の組織数。全業種で最多
パッチを適用できない環境では何が起きているのか
本調査は、OT環境に固有の構造的な不利に注目しています。需要のピーク時に変電所を停止することはできず、病院の医療機器ネットワークも、患者を危険にさらさずに保護のため停止することはできません。そのため、既知の脆弱性があるソフトウェアが産業インフラで何年も稼働し続け、長期間にわたり攻撃にさらされることがあります。
本レポートは、悪用が確認された脆弱性と、その背後にいる攻撃者を対応付けています。また、検知だけに頼らず、迅速な封じ込めを重視すべき理由を示しています。
推奨事項
重要な産業とインフラの運用事業者に向けて、具体的な推奨事項を8つ示します。最初の3項目が最優先です。
- 攻撃者に先んじて、OT資産の完全な台帳を作成する
- 仮想パッチを一時しのぎではなく、恒常的な脆弱性管理の手順として導入する
- 検知と監視に基づく対策に加え、迅速な封じ込めを優先する
- セキュリティアーキテクチャを規制に整合させ、今後の変化にも備える
- OT環境向けのAIを活用した検知に投資する
- 人を介した攻撃経路に明示的に対処する
- 計画段階からデータ主権に関する要件を組み込む
- 現実的な期間を見据えた継続的な協力を通じて、官民の脅威情報共有能力を育てる
本レポートでは、各推奨事項に必要な投資・労力の目安(低・中・高)と、効果が特に期待できる領域を示しています。これにより、成熟度の異なる組織も、どこから着手するかを判断できます。
最後に本レポートは、AIを利用した脅威に対抗するための6つの能力、すなわちコンテキスト、インテリジェンス、実行可能性、可視性、アクセス制御、運用上のレジリエンスを概説し、それぞれをTrendAI Vision One™の対応する機能に結び付けています。
AI時代に重要なシステムを守る方法を、詳しくご覧ください。
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参考記事
Critical Infrastructure Under Threat: How Frontier AI Changes the Risk Equation
By: TrendAI™ Research
翻訳:与那城 務(Platform Marketing, TrendAI Research)